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[debian-devel:00263] debian_manifesto



八田@日本インターシステムズです。

開発には直接関係ないのですが、debian_manifestoを訳してみました。
元にしたテキストはftp.debian.orgのdocディレクトリの下にあるものです。

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この文書は、Debianの歴史を文書に残しておくために配布されていることに注意
してくだ
さい。一般的な概念は、細かな点でいくつか変更されています。


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付録
Debian 宣言
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                                Debian Linux 宣言

                              イアン・マードック著
                                1994年1月6日 改定


Debian Linux とは何か?
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Debian Linux はまったく新しい Linux 配布版です。今までに開発された他の
Linux の
配布版のように、限定的な個人やグループが開発しているものではなく、Linux
と GNU 
の精神に則り、オープンに開発されています。Debian は、最終的に Linux の名
に恥じな
い配布版を作り出すことを第一の目的としています。Debian は注意深く、また
良心的に
配布版をまとめており、同様の配慮で保守・サポートしていく予定です。

Debian は、市場で十分な競争力を持ちえる、商用ではない配布版を作り出す試
みでもあ
ります。ゆくゆくはFree Software Foundation が CD-ROM で Debian を配布す
るように
なるでしょう。また Debian Linux Association は、印刷されたマニュアルや技
術支援な
どエンドユーザに必要なものと一緒に、フロッピーディスクやテープによる配布
を提供す
ることになるでしょう。上記のすべてが原価よりもわずかに高い金額で入手でき
るように
なり、そのわずかな原価超過分を使って、すべてのユーザのためのフリーソフト
ウェアを
さらに開発していくことになるでしょう。このような配布版には、市場で Linux
オペレ
ーティングシステムが成功していることが欠かせません。また、十分に先進的な
位置にあ
り、利益や配当の圧力を受けることなくフリーソフトウェアを広めようとしてい
る組織に
よってなされなければなりません。


なぜDebianを作成するのか?
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Linux の未来にとって配布版は不可欠です。配布版を利用すると、ユーザはうま
く稼動す
る Linux システムを組みあげるために必要な、大変な数のツールを探しだし、
ダウンロ
ードし、コンパイルし、インストールしシステムとしてまとめあげる作業をせず
ににすむ
ようになります。かわりに、システムを構築する重荷は配布版作成者が背負いま
す。配布
版作成者がした作業は、何千もの他のユーザと分かちあうことができます。大抵
の Linux
 ユーザは、配布版を通して Linux なるものの最初の感触を得るものです。ま
た、多くの
ユーザが、このオペレーティングシステムに慣れてからも、便利さを求めて配布
版を使い
つづけるでしょう。つまり、配布版は本当に大変重要な役割を担っているので
す。

配布版が明らかに重要であるにもかかわらず、開発者達はほとんど注意を払わず
にいます
。単純な理由によります。配布版の構築は易しくもないし、魅力的でもないから
です。ま
た、配布版のバグをとり、最新の状態に保つために、作成者は継続的に大変な努
力を強い
られるからです。0からシステムを組みあげるのとは全く別物です。つまり、シ
ステムが
他人にとってインストールしやすく、多様なハードウェア構成にもインストール
して使用
でき、使いでがあると人を唸らせるソフトウェアを含み、構成要素そのものが改
善された
ときにアップデートできることを保証するということなのです。

多くの配布版がかなりよいシステムとして発表されました。しかし、時が経つに
つれて、
配布版の保守から次第に関心を失い、二の次になってしまいます。そのよい例
が、Softla
nding Linux System(SLSの略称で有名)でしょう。恐らくもっともバグが多く、
保守もほ
とんどなされなかった配布版です。残念ながらこの配布版は、恐らくもっとも多
くの人に
使われた物でもありました。まぎれもなく、これは多くの配布業者からいちばん
注目され
てしまった配布版だったのです。これらの業者は、このオペレーティングシステ
ムが世に
広まって行くのに便乗していることを露呈してしまいました。

これはまったくひどい組み合せです。この手の配布業者から Linux を得る多く
の人が、
バグが含まれているうえに保守もされない Linux 配布版を受け取ってしまうの
ですから
。これだけでは悪行したりないかのように、こういった配布業者には、自分達の
製品の中
の動かなかったり極めて動作が不安定な機能について誤解を与えかねない宣伝を
すると言
う困った傾向がありました。このような状況と、購入した人はその製品が宣伝に
違わぬで
きだろうともちろん予想することと、多くの人がその製品が商用のオペレーティ
ングシス
テムだと信じている(Linux がフリーであることや、GNU 一般公有使用許諾に従
って配布
されていることに言及しない傾向もありました)かもしれないことを考えあわせ
てみてく
ださい。なおその上に、これら配布業者は、より多くの雑誌で派手に広告を出し
てもかま
わないだけの金を努力して実際に稼ぎ出しています。単にあまりよくわかってい
ないだけ
の者が、容認できない行動を助長してしまうという古くから見られる事例が見て
とれます
。あきらかに、この状況を改善するために何か手を打つ必要があります。


Debianはこれらの問題に終止符を打つためにどのように努力するつもりなのか
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Debian の設計過程は、オープンです。システムが最高の品質を持つことと、ユ
ーザの共
同体の要求を反映させることを保証するためです。能力と背景に広がりがある他
人を巻き
こむことで、モジュール化して Debian を開発することが可能になりました。あ
る分野の
専門的知識を持つ者が、その分野を含んでいる Debian の個々の構成要素を開発
したり保
守したりする機会が与えられるので、その構成要素の品質は高くなります。他人
を巻きこ
んだことで、改良のための価値ある助言が開発を通して配布版に含まれて行くこ
とも保証
されます。そのため、どちらかというと作成者の要求や欲求よりもユーザの要求
や欲求を
元に配布版は作成されます。一人の個人や小グループでは、直接他人から情報を
得なけれ
ば、このような要求や欲求を前もって組み入れることはかなり難しいものです。

Free Software Foundation と Debian Linux Association は物理媒体でも
Linux を配布
する予定です。これにより Internet や FTP を使わなくてもユーザに Debian
を提供で
きます。また、システムのすべての利用者が印刷された手引き書や技術支援など
の製品や
サービスを広く入手できるようにすることもできます。このやりかたなら、
Debian はた
くさんの個人や組織で使用されるでしょう。収益や配当を得ることではなく、一
級の製品
を供給することに焦点をあてています。そして、製品やサービスから生じた利潤
は、対価
を支払ってソフトウェアを得たかどうかにかかわりなく、すべての利用者のため
にソフト
ウェア自体を改良するために使われるでしょう。

Free Software Foundation は Debian の将来にとって大変重要な役割を果たし
ます。Fre
e Software Foundation が Debian を配布するという単純な事実によっても、
Linux が商
用の製品ではなく、今後もけしてそうはならないこと、しかし Linux が商業的
な競争に
けして勝てはしないとは意味しないことを世に知らしめることになります。同意
しない人
は、GNU Emacs と GCC が成功していることを理由付けしていただきたい。これ
らは商用
の製品ではありませんが、商用であるかどうかにかかわらず市場に甚大な影響を
与えてき
ました。

Linux 共同体全体とその未来に迷惑をかけて自分が裕福になるという破壊的な目
標を目指
すかわりに、Linux の未来に集中するときがきました。Debian を開発し配布し
ても、こ
の宣言で概略を述べた問題への回答とはならないかもしれません。ですが、少な
くとも、
これらの問題が解決すべき問題として認められるくらいには Debian を通して注
意を引き
たいと望んでいます。
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以上。
訳に責任はもちません。
誤訳があれば、お知らせください。
著作権関係はまじめに調べていませんので、今のところ転載は控えてください。

#次は、Debian GNU/Linux固有のプログラマ向けのドキュメントを訳していきた
いと
#思います。鴨志田さんと重なるかもしれませんが、無駄にはならないでしょ
う。
#Debian FAQとかも訳した方がいいんですかね。
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// 日本インターシステムズ株式會社 共通システム部
// 八田修三
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