7.15 基本システムの設定 (Configure the Base System)

この時点で、最小の Debian システムを構築するだけのファイルを読み込 みましたが、システムが稼働する前に幾つかの設定を行わければなりません。 基本システムの設定 (Configure the Base System) を選択して下さい。

まずタイムゾーンを選択するよう尋ねられるでしょう。自分のタイムゾー ンを探すか、メニューを使って地域で探していき、プロンプトが出ているとこ ろで入力します。これは他のメニューに誘導しますので、そこで実際のタイム ゾーンを選択できます。

次に、システムの時間が GMT に設定されているかローカルに設定されてい るかを聞かれます。Linux と Unix のみが動いていれば、GMT を選んでくださ い。DOS や Windows などの他の OS が動いていれば、local time を選択しま す。Unix と Linux はシステムの時間を GMT として維持し、ソフトウェアを 使ってローカル時間に変換しています。これで夏時間とうるう年を維持して他 の時間帯からログインしてきたユーザが端末で使っている時間帯に個々に設定 することができるようにしています。GMT をシステム時間として使い、ローカ ルに夏時間 (daylight savings time) を使っていれば、システムが適 切に合わせてくれます。

7.16 ハードディスクから起動可能にする (Make the Hard Disk Bootable)

ハードディスクから直接 Linux を起動すると選択すれば、ブートレコーダ にインストールするか聞いてきます。ブートマネージャを使用しなければ (ま たはブートマネージャをしらないとき)、yes と答えてください。 次の質問は電源を入れたときに自動的に Linux を起動するかどうかです。 これは、 Linux を起動するパーティションに設定します。 no と答えれば、後で DOS の fdisk や Linux の fdiskactivate を使って起動するパーティ ションを設定することができます。

一番目のハードディスク以外に Linux をインストールしているときは、ブー トフロッピーを作成してください。ほとんどのシステムにあるブート ROM は 一番目のハードディスクからのみ起動できるようになっていて、二番目からは できないようになっています。しかしながら、インストール後にはできるよう になります。/usr/doc/lilo ディレクトリにある説明を読んで ください。

7.17 起動フロッピーの作成 (Make a Boot Floppy)

ハードディスクから起動する人も起動フロッピーは作成してください。 というのは、ハードディスクの bootstrap へのインストールが失敗すること があるからです。しかしながら、起動フロッピーを使えば、たいてい起動し ます。起動フロッピーの作成 (Make a Boot Floppy) を選択して、 空いているフロッピーを挿入してください。フォーマットして書き込みますの でフロッピーが書き込み可になっているのを確認してください。書き込みが終っ たら、 "カスタムブート(Custom Boot)" とラベルに書いて、書き 込み不可にしてください。

7.18 真実の瞬間

これは電気技術者のいう smoke test と呼ばれるもので、最初に新 しいシステムを起動したときに何が起こるかというものです。フロッピーを抜 いて、Reboot the System を選択してください。Linux が起動しなかっ たら、 "カスタムブート(Custom Boot)" を使ってください。最初 にレスキューフロッピーを入れたときと同じメッセージが表示されて、次に新 しいメッセージが表示されます。

7.19 ルートパスワードの設定 (Set the Root Password)

ここで、ログインしたらシステム全てのセキュリティを無視することがで きるスーパーユーザ(super-user) のパスワードを入力します。これは、 システム管理をするときのために使い、できるだけ短時間で使われるものです。 個人的なログインを ルート(root) でしないでください。後で個人的 にログインするアカウントを作り、ルート以外のアカウントを使って e-mail のやりとりやほとんどの事をします。ルート権限を避ける理由はトロイの 木馬(スーパーユーザの特権を利用して影でシステムのセキュリティを操作・ いたずらするプログラム) が走るかもしれないからです。Unix システムの管 理に関する良い本にもっと詳しい詳細が書かれています。管理をはじめてする 人は読んでみてください。良い知らせがあって、 Linux はたぶん PC 上で動 く他の OS よりもセキュリティが高いということです。例えば、 DOS や Windows は全てのプログラムをスーパーユーザ権限で実行しています。 これがウィルスに感染しやすい理由の一つです。

パスワードは 6 から 8 文字で、大文字と小文字を混ぜたものや句読点を 入れたものにしてください。

両方のログインが付け加えられたら、dselect が起動します。 dselect を使う前に、dselect 入門 (Dselect Tutorial) を読むことが必要です。dselect はシ ステムにインストールするパッケージを選択するプログラムです。 debian のパッケージの 入っているCD-ROM やハードディスクや、インターネットに接続していれば、 すぐに利用することができます。そうでなければ dselect を終 了して、パッケージをシステムに転送した後で実行し直してください。 dselect はスーパーユーザ (root) で実行してください。

7.20 ログイン

dselect を終了したら、login プロンプトが表示されます。 自分のアカウントでログインしてパスワードを入力してください。システムを 使う準備が出来上がっています。

7.21 PPP のセットアップ

注:あなたが、CD-ROM からインストールしているかあるいはネットワーク へ直接接続される場合には、何事も無くこの節を飛ばして読めばいいです。

基本システムは完全な PPP パッケージを含んでいます。このパッケージは、 PPP 経由で ISP に接続させるものです。以下は PPP 接続を設定する基本的な 手順です。起動ディスクには PPP を設定するのを手伝ってくれる pppconfig と呼ばれるプログラムが入っています。それでもこれが機 能しないなら、詳細な手順は以下を参照してください。

PPP をセットアップするために、Linux においてファイルを見たり編集し たりするための基本を知っている必要があるでしょう。ファイルを見るには、 more を使い、.gz 拡張子の付いた圧縮ファイルには zmore を 使います。例えば、README.debian.gz を見るには、 zmore README.debian.gz と打ってください。 less は優れたページングプログラムですが、基本システムには 含まれていません。できることなら less パッケージをインス トールしてください。基本システムに含まれているテキストエディタは ae だけです。またこれは vi に見せかけてもい ます。これを使うのは非常に簡単ですが、多くの機能はありません。一旦 dselect の中に入れば膨大な数のエディタを選択することがで きるでしょう。

/etc/ppp/peers/provider を編集して '/dev/modem' を '/dev/ttyS#' に書き換えてください。ここで # は COM ポートの番号を表し ます。Linux では、0 から数えられるので、COM1 は Linux だと /dev/ttyS0 になることを覚えておいてください。次の段階は /etc/chatscripts/provider を編集してあなたのプロバイダの 電話番号、ユーザ名、パスワードを挿入してください。パスワードの前にある '\q' を削除しないでください。これはログファイルにパスワードが残らない ように隠すものです。

多くのプロバイダはログイン手続きで、テキストモードの認証の代わりに PAP あるいは CHAP を使います。両方使う所もあります。プロバイダが PAP か CHAP を求めるなら、次のような様々な手続きが必要になります。 /etc/chatscripts/provider にあるダイアル文字列 (ATDT で始 まっているもの) 以下を全てコメントアウトし、上で説明したように /etc/ppp/peers/provider を修正、"user username" (引用符は 除く) を加えてください。ここで username は接続を試みているプロバイダで のあなたの名前です。次に、/etc/pap-secrets あるいは /etc/chap-secrets を編集してここにあなたのパスワードを入 力して下さい。

さらに /etc/resolv.conf を編集してプロバイダのネーム サーバ (DNS) の IP アドレスを加える必要があります。 /etc/resolv.conf の該当行は次のフォーマットになります:

 nameserver xxx.xxx.xxx.xxx 

ここでxは、あなたのIPアドレス中の数値です。

あなたのプロバイダが大半の ISP とは違ったログイン手続きを取るので なければ、これで完了です! pon と打って PPP 接続を始め、 plog コマンドを使ってプロセスを監視してください。接続を断 つには poff を使います。

8. 起動フロッピーの技術情報

8.1 ソースコード

"boot-floppies" パッケージは、インストールフロッピーに関 する全てのソースコードが含まれています。

8.2 レスキューフロッピー

レスキューフロッピーは MS-DOS ファイルシステムで構成されていて、 DOS または Windows システム、あるいは、DOS ディスクをマウントすること ができる何からでも、アクセスできるはずです。Linux カーネルは、ファイル "linux" にあります。ファイル root.bin は、 1.44 MB の Minix ファイルシステムの gzip 圧縮ディスクイメージで、RAM ディスクに読み込まれ、ルートファイルシステムとして使われるでしょう。

8.3 カーネルの交換

もし、レスキューフロッピーのカーネルを交換する必要があるなら、これ らの機能を、ローダルモジュールにではなく、直接リンクするように設定しな ればなりません:

レスキューフロッピー上のファイル "linux" に新たなカーネルを コピーし、フロッピーにあるシェルスクリプト "rdev.sh" を実行 してください。

8.4 基本フロッピー

基本フロッピーには 512 バイトのヘッダとそれに続く gzip 圧縮の tar アーカイブの一部が含まれています。もしヘッダと連結さ れている基本フロッピーの内容とを取り去ると、残りは圧縮 tar アーカイブ になるはずです。アーカイブはハードディスクにインストールされるベースシ ステムが含まれています。一度このアーカイブがインストールされると、シス テムを利用可能にするには、インストールシステムの 基本システムの設定 (Configure the Base System) やネットワークの設定それにオペレーティ ングシステムとモジュールのインストールをくぐりぬける必要があります。

9. この文書の著作権

Copyright 1996 Bruce Perens;1996、1997 Sven
Rudolph、1998 Igor Grobman <igor@debian.org, James Treacy
treacy@xxxxxxxxxxxxx および Adam P. Harris <aph@xxxxxxxxxxx&rt;。
この文書は、GNU General Public License の条件のもとで配布してかまいま せん。

10. 商標表示

ここで、明示的に印されていない商標は、それらのそれぞれの所有者の所 有物です。386, 386sx, 486, Pentium, Pentium Pro および Pentium II は、 インテルの所有物です。Windows, Window95, WindowsNT および WinModem は、 マイクロソフトの商標です。ThinkPad および OS/2 は IBM の所有物です。