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[Candidate] Kenshi Muto



武藤@Debianぷろじぇくとです。

Debian JP Projectの次期会長職に立候補を表明します。

■出馬動機
2年間Debian JP Projectの監事を勤めてきましたが、会計と理事進行を見守る
という監事の職務範囲を越えて、ついつい口を出したり手を動かしたりしてき
ました。どうにも監事という範囲では窮屈に感じるものがあり、またまだこの
2年間ではやり残したことがいろいろあるように思えます。

次の2年間の体制運営は昨期以上に重圧であるとは思いますが、それもまた一
興、理事会だけではたいへんなところはどんどん皆さんにお願いしていこう、
と考えています。

■履歴
千葉大学文学部を1996年に卒業後、学研系列のソフトウェア会社に就職。1998
年に転職し、現在の(有)トップスタジオに勤務しています。本業では書籍の翻
訳、編集、監訳、執筆などを行っています。日本Linux協会にも参加し、昨年
はユーザー部会の副部会長やイベント部会員、Linux Conferenceプログラム委
員として活動しました。今後も日本Linux協会での活動がより増えることにな
りそうです。

Debian JP Projectには一般のユーザーとして1997年ごろから参加し、その後
1998年に鵜飼さんから-privateに会員として誘われました。1999年には、当時
は時間が非常にかかったり無視されやすかったりしたDebian Projectのオフィ
シャルメンテナ申請に運よく通り、正式に登録されました。

同年のDebian JP Projectの役員改選時に、よりDebianへのコミットをしてい
きたいと考え、監事に立候補し、当選後約2年間に渡りその職を勤めてきまし
た。

コンピュータに触れたのは小学校3年ごろのことで、PASOPIA 7→X68000→PC互
換機と渡り歩いてきました。大学在学中は、3年間に渡り学部内LAN管理者とし
て、SunOS、Solaris、MacOS、Windows、Linuxなどの各種OSに触れてきました。
Linuxはi386のSlackwareにはじまり、1997年に当時bo-jpだったDebianに移行、
以来ずっとDebianを使い続けています。

■テクニカルレベル
・いくらか深く覚えたもの
  BASIC (PASOPIA 7, X68000) / Java (1998年に『はじめてのJava』(技術評
  論社)を共著で執筆) / Perl (2000年に『独習Perl』(翔泳社)を執筆) / PHP
  / SunOSの管理知識 / Windowsの管理知識 / Debian GNU/Linux i386の管理知
  識

・少し覚えたもの
  Z80アセンブラ / AWK / C / Visual C++ / Visual Basic / Tcl/Tk / SQL /
  MacOSの管理知識

・勉強中でまだ実用に至ってないもの
  Ruby / LDAP / Python

■付きまとうリスク
・複雑なCやC++のプログラムは手に負えません。バグがあるということはわかっ
  ても、それをBTSに登録するくらいしかできないことがほとんどです。
・Description翻訳プロジェクトを破綻させてしまいました。技術的な問題を
  解決しないまま、場当たり的にやってしまったと反省しています。
・i386以外のアーキテクチャについての知識がありません。
・Debian JP Projectの基幹になるであろうLDAPサービスについてあまり知り
  ません。勉強中ですがまだ完全には理解できていません。
・英語の能力は高くありません。リーディングはともかく、ライティング、リ
  スニング、スピーキングは壊滅的です(TOEICを受けたことはありませんが)。
・言い方がきついことがあります。対外的な場面では極力抑えていますが、と
  きには失礼な物言いをしているかもしれません。
・しゃべるのは得意なほうではありません。
・経営、簿記、法務についての知識はまったくありません。
・日誌をメンテナンスできるだけのパワーはありません。本業やプライベート
  で費やす時間はどうしても優先せざるを得ず、残る時間はそれほど多くあり
  ません。夜にも弱いです。
・なぜかハードウェアの購入でハズレを引きやすいです。運はよくないほうで
  す(マーフィの法則にはまりやすい)。
・知名度や外部の信頼度の点で柳原さんや鵜飼さん、佐野さんらにはるかに及
  びません。BSD、i18n、security、X、カーネル、LDAPといったいずれの分野に
  も興味はありますが知識が足りません。

■これまでの実績
・Debianを広めるべく、1999年に『Debian GNU/Linux徹底入門』(翔泳社)を執
  筆しました。2000年に『改訂版 Debian GNu/Linux徹底入門potato対応』とし
  てこれを全面的に改訂しました。
・Descriptionの翻訳のプロジェクトを提案しました(しかし、これは技術的な
  問題を解決できず、破綻しました)。
・slink-jpのリリース時にテストチームとして活動しました。
・ユーザーサポートに特に重点を置いて活動してきました。
・Debian JP Projectのwebmastersの1人としていくつか届く質問に回答してき
  ました。また、いくつかWebページの加筆、修正作業も行いました。
・merge operationのときに、sl、file-kanji、jnethack、xtokkaetama、
  xjokes、xshodo、dvi2tty、dviutils、xeji、xengine、xslideshowの代
  理メンテナとしてDebian Projectにアップロードしました。現在これらはま
  だ私のメンテナンス下にあります(jnethackは根岸さんにお返しする予定)。
・オリジナルのパッケージとして、Debian Projectでxcruise、xfireworks、
  jpeg2psをメンテナンスしています。Debian JP Projectではapt-mirrorfind
  とjlatex2htmlをメンテナンスしています。
・potatoのリリースに向けていくつかのテストやバグ報告を行い、よりクオリ
  ティを高めました。
・故Joel Kleckerへの献辞(著Ben Collins)の翻訳を行い、potatoに添えてリ
  リースしました。
・hamm-jpやslink-jpからpotatoへのアップグレードの手引きを作成し、公開
  しました。
・1999年から2001年にかけて、Debian JP Projectの監事として、理事とともに
  多くの案件を処理してきました。
   ・商標手続き
   ・Debian JP Project JPNIC登記変更手続き
   ・汎用ドメイン取得手続き
   ・会則改訂
・Linux Expo、Linux Conference、地方イベントなどにおいてDebianやLinux
  の普及のための講演を行いました。
・2001年1月のLinux World in N.Y.においてBranden RobinsonやWichert
  Akkerman、Bruce Perensと話をしました(少しだけ…)。
・2001年2月から、Debian Projectから発行されるDebian Security
  Announce(DSA)のdebian-users向け転送作業をはじめました。
・本業を活かして、Debianのメンバーと出版社の接着役をしてきました。監訳
  者集団「でびあんぐる」として、その報酬である印税すべてを寄付とし、
  Debian JP Projectに大きな金銭的支援を行いました。

■forkディストリビューションについての所感
Debian ProjectやDebian JP Projectにあるパッケージを使ってforkディスト
リビューションを誰かが作ったり、プロジェクトを独自に組織して開発を行う
ことについては(どのような役職にあったとしても)何ら問題はないと考えます。

Debian JP Projectとしては、JPリリースというforkディストリビューション
の開発は止めていますので、Debian JP Projectが積極的に関与することはあ
りませんが、力のあるメンバーがそれに協力したり立ち上げたりすることは、
応援こそすれ、モチベーションを下げるようなことはしたくありません(プロ
ジェクトの立ち上げというのはモチベーションが極めて要求される場面ですか
ら)。もちろん、Debianへのマージを提唱する者としては、彼らのプロジェク
トにも積極的な成果物のマージを期待したいと思います。

■non-freeについての所感
Debian Projectではたびたび話題になるnon-freeセクションの削除問題は、
Debian JP Projectではまだ深刻な議論になったことはありません。non-free
はDebianの理念を厳密に適用すれば確かに外れた概念ではあるでしょう。

Debian Projectの場合にはnon-freeでなくても代替可能なものがmainに多いと
いう利点がありますが、Debian JP Projectの場合には少々事情が異なります。

代替になるものはあまりありません。日本発の(つまり日本のメンテナが作り
やすい)ソフトウェアは、ライセンスが極めて曖昧であったり、いわゆる「フ
リーウェア」や「PDS」時代の産物的な、DFSGに沿わない制限付きライセンス
であることが多いものです。

日本固有の事情を鑑みて、Debian JP Projectではnon-freeセクションを今後
削除しようとは考えていません。
しかし、各メンテナは、upstreamの開発者にDFSGに沿ったライセンス(たとえ
ばGNU GPLやBSDライセンス、Xライセンス)のメリットを説き、できれば変更し
てくれるよう要求してみるべきだと思います。よほど強いポリシーに基づいた
ものでない限り、upstream開発者に一言言えばすぐに変えてくれることはよく
あります(たとえばxcruiseはGNU GPLを適用するように変えてくれました)。

■IRCとメーリングリストの関係についての所感
IRCは即時性が売りであり、メーリングリストは知識の共有が売りです。IRCの
ログをそのままメーリングリストに転送したり、あるいは会員だけが見えるよ
うにといったことをしたところでメリットがあるのかどうかは疑問です。

IRCは入力コストは低いですが、そのためにS/N比が悪く、そのサマライズをし
ない限りは情報の共有を唱ったところであまり意味はありません。IRCでしゃ
べる際にあとで記録に残ることを考えてメールのように一語一語チェックして
入力するようでは、IRCの即時性が失われ、そのチャネルでの会話を面倒に思っ
て忌避するようになる可能性があります。

#debianjpをはじめ、いくつかのチャネルに所属していますが、サマライズは
現在でも十分すぎるほどに行われていると思います。

現段階以上のサマライズの増加を要求する、というのであれば百聞は一見にし
かずです。IRCに参加して現状の把握をして頂いたほうがよいでしょう。IRCボッ
トと呼ばれるソフトウェアの使い方はDebian JP ProjectのWebページで提供さ
れていますし、会員ならDebian JP Projectの各サーバーでそれらのボットを
動かすこともできます。無理に会話などしなくても、ボットでそのチャネルの
内容をファイルに記録だけしておくことができます。

ところで、メーリングリストのメリットは知識の共有にあり、それは記録され、
あとの人にとって再利用できるようになっているべきでしょう。IRCと同じ感
覚で無駄に書き散らしたり、大多数の人には意味不明な言葉を交じえたりする
のは好ましからざることだと思います。どの世界にも言えることですがTPOを
守りましょう(自省を込めて)。

■Debian JP Projectとビジネスの関わり方についての所感
Debian JP Projectは非営利団体であり、プロジェクト自身で積極的な営利活
動をすることはあり得ません。

Debian JP Projectは、NetVillageやLaser5、HP、VA Japanなどのスポンサー
企業からいろいろな支援を受けていますが、それらの企業は少なくとも私たち
の側からの直接の見返りを期待しているわけではないのです。

企業でDebianをビジネスに使うことは、各ソフトウェアのライセンスを尊重し、
従ってくれさえすればDebian JP Projectとして何も言うことはありませんし、
喜ばしいことです。

企業でDebianに関する手助けが必要なときにメーリングリストを活用するのも
よいと考えます。SPAMは拒絶すべきですが、真摯な人材募集をDebianの専門家
集団の中に求めようとするのは悪い考えではないでしょう。

企業からDebian JP Projectへの支援がより行いやすいようNPO化するという意
見もありますが、NPOにできるだけの初期条件、することによるメリットとデ
メリット、維持のマンパワーなどを考えると現在のところNPO化は目標にはあ
りません。NPO化を積極的に支援するというスポンサーが登場すれば検討課題
にはなるでしょう。

■今後のDebian JP Projectのあり方についての所感
Debian JP Projectのドキュメンテーションチームは現在でもかなり強力なレ
ベルだと思いますが、さらにこれを進めていきたいと考えます。

Debian JP Projectの3つの支柱として、パッケージメンテナンス/ドキュメン
トメンテナンス/ユーザーサポートを掲げます。

jp-qa MLなどを活用して高い品質を保ち、Debian Projectのマージやuploadに
おいてDebian JP Projectの技術力を示せるようにしたいと考えます。現在止
まっているFAQのメンテナンスの再開や、検討課題であるBTS delegationシス
テムも実現したいと思います。ユーザーの声を活かし、ユーザーを開発者に引
き上げていく努力を行い、Debianの理念をより広めていきたいと考えます。

鵜飼さん頼みの現状の改善は急務です。LDAPなどまだ私が助力できるレベルは
それほどありませんが、ほかのメンバーでできる人がいればどんどん協力でき
るような流れを作っていくことが重要でしょう。ただ、その教育コストを鵜飼
さんが支払うようなことになってはよくないので、できる限り不要な質問をし
ないで済むレベルに近づけるよう努力が必要です。

理事会だけでは手がまわらない作業は、タスクフォースを設けて委任できるよ
う、信頼で結ばれた関係を築いていきたいと考えます。タスクフォースのメン
バーが固定化しないよう、皆さんの協力も期待します。

New Maintainer、つまり新規会員勧誘が1つの課題であり、鵜飼さんにとって
一番手間のかかる仕事であるという話があります。私たちは営利団体でもない
ですし宗教法人でもありませんし、DebianやDebian JP Projectの理念に対す
る賛同なしにただいたずらに人数を増やすことのリスクは過去の過ちから気付
いているはずです。DebianとDebian JP Projectの理念、会則を今一度再確認
し、皆さんがNew Maintainer担当という気概で新しい仲間を増やしていくこと
が理想的だと考えます。

Debian Projectとの関係はpotatoのマージオペレーションによってずっと改善
され、密になってきたと感じます。今後もよりよいイメージをDebian Project
に与えていくべきでしょう。

質の高いパッケージを提供し、国際化をしっかりと考え、ドキュメントにおい
てもほかの言語圏のチームをひっぱっていけるくらいの力を付けていけるくら
いのプロジェクト、そして皆がモチベーションを高く保つことができるプロジェ
クトに成長させていければと思う所存です。
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(http://www.debian.or.jp/MailingList.html#jp-policyML を参照)。

本platformについてのご質問、ご意見のある方は、subscribeの上、ご投稿くだ
さい。
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武藤 健志@Debian/JPプロジェクト   (kmuto@debian.org, kmuto@debian.or.jp)
           日本Linux協会           (kmuto@linux.or.jp)
           日本いそたーねっと協会  (kmuto@isoternet.org)
           有限会社トップスタジオ  (kmuto@topstudio.co.jp)
URI: http://www.topstudio.co.jp/~kmuto/ (Debianな話題など)

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