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[debian-devel:14136] Re: License issue of Adobe CMap.



佐野@浜松です。

 (ひさしぶりにメールの整理中)

In <20010415234754C.take@master.debian.or.jp>,
  on "Sun, 15 Apr 2001 23:49:49 +0900',
 Yasuhiro Take <take@debian.or.jp> さん wrote:

> 結論としてはやはり modification が許されなければ non-free という
> ところでしょうか。

すくなくとも現状ではそうですね。個人的には将来的にもそうであって
ほしい、という気がします。

例えば文書についていえば、翻訳なども modification として解釈する
ことが可能だったりするわけで、そういうことが自由にできないモノを
 Free と呼ぶのはナニだなぁという気がしたり。

 RFC は翻訳を明示的に許可していますね。

あと RFC の copyright を読むと形式やフォントの変更とか、他の文書
への引用なども許可されています。

   This document and translations of it may be copied and
   furnished to others, and derivative works that comment on or
   otherwise explain it or assist in its implmentation may be
   prepared, copied, published and distributed, in whole or in
   part, without restriction of any kind, provided that the above
   copyright notice and this paragraph are included on all such
   copies and derivative works.  However, this document itself may
   not be modified in any way, such as by removing the copyright
   notice or references to the Internet Society or other Internet
   organizations, except as needed for the  purpose of developing
   Internet standards in which case the procedures for copyrights
   defined in the Internet Standards process must be followed, or
   as required to translate it into languages other than English.

を読むと、"derivative works that comment on or otherwise explain
 it or assist in its implmentation" に対する許可や、また内容の
変更についても "for the purpose of developing Internet standards" 
の例外など、いろいろと許可されている範囲が広いようなので、これに
ついては解釈次第で DFSG 第 4 項の "Integrity of The Author's 
Source Code" に従うものとすることも可能かもしれません。

 RFC の guideline にある

     3. Copying and distributing portions of an RFC:

       3a. As with any material excerpted from another source, proper credit
           and citations must be provided.

および "STANDARD RFC COPYRIGHT" の

         This document and translations of it may be copied and
         furnished to others, and derivative works that comment on or
         otherwise explain it or assist in its implmentation may be
         prepared, copied, published and distributed, in whole or in
         part, without restriction of any kind, provided that the above
         copyright notice and this paragraph are included on all such
         copies and derivative works.

を、

  1) その文書に別の名前を付けること
  2) 上記の copyright notice および STANDARD RFC COPYRIGHT の
     文章を含むこと

   という 2 条件を守れば、元の文書の一部を含む派生物としての文書を
   自由に作成、複製、発行、配布して良い
     
という許可条件として解釈すれば、という話。

 # Branden の出した Bug report にフォローすべきかな、、、
 # ちょっとパワー無い & -legal 追いかけてない ので
 # アレだけど、もし rfc が main から外されそうになったら
 # 反対意見出しておいたほうがいいだろうな、、、

> Adobe CMap を main に入れる手段として、unicode table の様に、
> 「元の形式 (original form) から改変されたもの は何してもフリー」
> という風にライセンスを変えていただくしかないですかね?

 DFSG 第 4 項 "Integrity of The Author's Source Code" は

 (This is a compromise. The Debian group encourages all authors to
  not restrict any files, source or binary, from being modified.)

と書かれているように、「妥協」であり、できれば使わずにすませたいと
考えている人が多いものですが、現実にはこの妥協が必要な場面もいくつか
存在するわけで。

たとえば THE Q PUBLIC LICENSE version 1.0 には、

3. You may make modifications to the Software and distribute your
   modifications, in a form that is separate from the Software, such as
   patches. The following restrictions apply to modifications:

     a. Modifications must not alter or remove any copyright notices in
        the Software.

     b. When modifications to the Software are released under this
        license, a non-exclusive royalty-free right is granted to the
        initial developer of the Software to distribute your modification
        in future versions of the Software provided such versions remain
        available under these terms in addition to any other license(s) of
        the initial developer.

のように「変更を加える場合はパッチ形式のように元のソフトウェアとは
独立したものとして配布すべし」という規定がありますが、第 4 項に
規定された「妥協」のおかげで DFSG 互換として main に入れることが
できた (その後 GPL とのデュアルライセンス化によりいわゆる KDE 問題も
最終的に解決された) わけです。

もし Adobe と交渉するとしたら、上記の RFC のライセンスや
 QPL v1.0 などの条項を例にしたほうが話がしやすいかも。

「変更禁止」というのは、結局 DFSG 第 4 項の規定にある

  "Integrity of The Author's Source Code"

を維持したい、というのが目的ですよね ? おそらくは。

いや、もしそれ以外に配布を制限したい目的があるのならダメですけど、
たぶん Adobe としては Acrobat Reader の無償配布などをやっている
ことからも、PDF の利用を推進したいという考えがあるのだろうと
想像しています。

たとえば Ghostscript は Adobe が開発した PostScript の規格や仕様を
利用しているわけですし、Aladdin はそれで商売していて、かつ GNU に
古いバージョンのコードを GPL ソフトウェアとして寄付してもいますが
 Adobe がそれに関して文句をつけたという話は聞いたことが無いので、
おそらく Adobe としては、PostScript の普及を推進するために、その
仕様や規格を利用することについては特に制限する考えは無かったのでは
ないかと思います。

そこから考えると、現在の Adobe 社の立場として PDF の利用を普及
させたいと考えているなら、普及の障害になりそうなものはなるべく
排除する方向に動いてくれるのではないかという期待があります。

非互換な CMap の乱立によって PDF 規格の信用が落ちることを警戒して
内容の改変を禁止しているのであれば、むしろ独自 CMap を勝手に作成
されることのほうが Adobe としては嫌なことなんじゃないかな、と。

そういうこと (独自 CMap の作成) をされるよりも、配布条件をすこし
緩和することで、オリジナルの CMap をそのまま採用してもらえるように
なれば、そのほうが Adobe 社にとっても利益になる、という方向で話が
できないでしょうか ?

 Qt Library の場合も、かつて non-free だと言われていた時に
代替物として Harmony Project の開発が進められていましたが、
 QPL ライセンスによってオープンソース互換として認められてからは
「代替物」の開発に参加する人が減って、結果としては Qt の普及が
推進されたわけですよね。

逆説的ではありますが、(一定の制限条件のもので) 改変した派生物の
配布を認めることで、かえってオリジナルのものが普及した例として
引き合いに出してみたら、ある程度説得力があるかもしれません。

Debian の ftp ミラーは世界中にありますから、オリジナルのものが
そこから配布されるのと、独立に実装された別のものが配布されるのと
では、PDF 普及の推進に向けた Adobe の意向にもすこしは影響がある
かもしれないですよ ? とか書いてみたら、、、脅迫とか受け取られると
逆効果だから、表現にかなり気を遣わないといけないかも。

> もし、
>  1) cid2code.txt から local で生成した CMap は好きにしてオッケー
>  2) ToUnicode CMap も cid2code.txt から生成可能(だが、手作業による修正
>     に追従はしんどそう)なので、これで Adobe のを代用
>  3) gs-cjk にお願いして、cid2code.txt を使うのをやめていただく。
> が達成されたら、main で go?

これについて gs-cjk ML で山田さんから以下のコメントがありましたね。

  | 2)は間違っています。
  | 
  | 	ToUnicode CMapはcid2code.txtからは生成できません。
  | 
  | 生成できるなら、私、使ってません。
  | 
  | 3)は、別方面の理由からそのような方向性もあるので、(べつにお願い
  | されなくても正しい方式であれば) 3)の方式は M2 で成される可能性が
  | あります。それは私が検証と修正を担当しているので、鋭意努力中です。
  | 
  | # 急いでいるならcid2code.txtはAdobeのKen Lundeさんによると、CMapと
  | # 同じライセンスということなので、それを明文化してもらった方が早い
  | # のでは。それでもクリアされない問題もあるのか…
  | 
  | それに、cid2code.txtから生成できるCMapのみを使うとすると、ユーザーは
  | かなり困ると思います。
  | 
  | なぜなら、Latinグリフなど大量の文字が*使うCMapによっては*印字されなく
  | なるからです。この対処により、gs-cjkの品質が疑われるようになるのは
  | 本意ではありません。それだったら、4) TrueTypeリソースを復活させる
  | 方向もあるのでは? 最新のパッチでもちょいと直せば昔に戻れます。
  | それだったら cid2code.txtは不要だし、cid2code.txtから生成できるCMap
  | のみで通常の印字は可能です。これは私の個人的な意見なので、あくまで
  | 参考意見として、最後の手段として捉えて下さい。

> Adobe へのお願いは、www.unicode.org と同じようなライセンスにしてくれ、
> じゃないと開発者にとって使いずらい、とかなんとか言うのがよいでしょうか。

一方的にお願いするだけだと相手もメリットが無いので乗りにくいだろうから

  「PDF の利用普及を推進するためには是非 Free Software の世界にも
    その恩恵を。ついては CMap に関する現状のライセンスの変更
     (あるいは許可条件の追加) について検討して頂けないだろうか。
    このままだと一部を利用した派生物のパッチ形式による配布を含めて、
    一切の改変を禁止すると解釈されてしまうので、CMap について
    別の独自な実装を開発する必要があるということになる。
    もし一定の制限条件のもとでなら改変した派生物の配布を許可して
    もらえるようになれば、オリジナルのものをそのまま我々の標準として
    利用することも可能となり、世界中に広くその利用を普及させることに
    つながるものと期待できるはず。」

という感じで「利用の普及」に結びつけて交渉するほうが良いかも。

> 1) が達成されそうにないなぁ。出来るものは Adobe の CMap とほぼ同じに
> なるわけだしなぁ。どうでしょうか、このあたり。過去に企業とかけあった
> 経験のある方?

「過去の企業とかけあった経験」はありませんが、とりあえず書いてみました。

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     # (わたしのおうちは浜松市、「夜のお菓子」で有名さ。)
    <kgh12351@xxxxxxxxxxx> : Taketoshi Sano (佐野 武俊)