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[debian-users:10402] [1st Summary] QPL0.9 (was Re: QPL Review.)



In <199811271756.RAA10352@xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx>
[debian-users:10358] Re: QPL Review., Nov.27 '98 17:56 JST
mguuji@xxxxxxxxxxxxxxxxx says:
=   > あと、SCSLの情報も募集中です。いまのところ、そっちまで手がまわ
=   > りそうにないんですが。
=   
=   日本Sunに勤務する友人と JSUG会長の研究室にいる友人に問い合わせましたけど、
=   後者からは「手元に見当たらない。わからん。」との返事を頂いています。

ふむ。いまのところ、SCSLが適用されているのは、JCP(Jini technology
Core Platform)とJSK(Jini Software Kit)だけのようですので、「も
ろにSUN」な人よりも「どっぷりとJava」 な人に訊いてみた方がはや
いかもしれないですね。

-------------------

で、QPL のほうです。

なにやらdebian-devel(本家)では「DFSGを改訂しよう!」という意見
まででてきていて、Ian Jackson によるドラフトが投稿されています。
これはこれで反対する人もいて、まだまだ収束しそうにありません。

debian-devel(本家)における、QPL に対する見解は、「現状のDFSGに
照らしあわせて十分にFree」という方向の様に見えます。また、
gnu.misc.discussでは、既に他のライセンスとのコンパチビリティに
関する議論に向かっているようですね。

QPL 0.9 が自由なライセンスかどうかを判断する上で論点となってい
るのはClause 3です。QPL0.9 clause3では、patch 以外の手段でプロ
グラムの改変および派生物の作成をおこなってはならない事、そして、
その patchが満たすべき条件が定義されています。(ここで、patchそ
のものは派生物とは見倣されない事に注意して下さい。patch は「別
のソース」です。)

http://www.troll.no/qpl/ から引用してみます。

    *   *   *

3.  You may make modifications to the Software. In order to
    preserve the integrity of the unmodified version of the
    Software, modifications must be distributed in the form of
    patches, and following restrictions apply to each patch.

    a.  Application of the patch must not modify copyright
        notices in the Software.

    b.  The patch must be explicitly licensed by the following
        clauses without additional restriction:

        [省略]

    c.  The patch must include an accurate description of the
        modification, the date of the modification and the
        author of the modification.


3.  あなたはソフトウェアに対し改変をおこなってもよい。
    ソフトウェアの改変されない版の完全性を維持するため、改変は
    patch の形式で配布されなければならず、以下の制限がそれらの
    patch に適用される。

    a.  patch の適用は、ソフトウェアの著作権表記を改変してはな
        らない。

    b.  patch は、付加的な制限なく以下の条文により明に許諾され
        なければならない。

        (省略... MIT X Licenseによく似たライセンス条件が書かれ
        ています。詳しくはQPL0.9そのものを参照して下さい...)

    c.  patch は、改変の正確な内容記述、改変の日付、および改変
        者を含まなければならない。

    *   *   *

(訳はいまいち自信なし)

改変と派生物作成に関するDFSGでの要求はDFSG clause3にあります。
ただし、patch に関しては、DFSG clause4もあわせて照会する必要が
あります。ちょっと引用してみましょう。

    *   *   *

3.  Derived Works
    The license must allow modifications and derived works,
    and must allow them to be distributed under the same terms
    as the license of the original software.

4.  Integrity of The Author's Source Code
    The license may restrict source-code from being distributed
    in modified form *only* if the license allows the distribution
    of ``patch files'' with the source code for the purpose of
    modifying the program at build time. The license must
    explicitly permit distribution of software built from modified
    source code. The licence may require derived works to carry a
    different name or version number from the original software.


3.  派生物
    ライセンスは、改変と派生物を許可しなければならず、それらを
    もとのソフトウェアのライセンスと同じ条件で配布する事をも許
    可しなければならない。

4.  原作者のソースコードの完全性維持
    そのライセンスが、構築時のプログラム改変を目的とした「patch
    file」をソースコードとともに配布する事を許可する場合に限り、
    ライセンスは、改変された状態でのソースコードの配布を制限し
    てもよい。
    ライセンスは、改変されたソースコードから構築されたソフトウェ
    アの配布を明に許可しなければならない。
    ライセンスは、派生物に対する異なった名称またはバージョン番
    号の付与を要求してもよい。

    *   *   *

(訳はいまいち自信なし)

QPL0.9 clause3は、特定の条件を満たすpatch によるもの以外の改変
を禁じていますが、これは上記の通り、DFSG的には問題ない事がわか
ります。DFSG clause4に書かれている「唯一の例外」を突いてきてい
るわけです。

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QPL とGPL とのコンパチビリティについてrms がgnu.misc.discussで
述べていたのでこれについても紹介しておきます。

    Date: Sat, 21 Nov 1998 10:49:38 -0500
    Message-ID: <199811211549.KAA18458@xxxxxxxxxxxxxxxx>
    From: rms@xxxxxxx (Richard Stallman)
    Subject: On the QPL
    Reply-To: rms@xxxxxxx
    Newsgroups: gnu.misc.discuss
    Sender: gnu-misc-discuss-request@xxxxxxxxxxxx

という記事です。御近くのニューズサーバにあれば読んでみてくださ
い。rms の見解の骨子は、

「QPL0.9の許諾条件そのものは十分にフリーなものとみなすことがで
きるが、已然としてGPL とは互換性がない。故に、QPLed softwareと
GPLed softwareの双方に由来する派生物は、特別に許可されない限り
配布することができない。」

です。


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しかし、私は、QPL0.9はDFSGに適合するライセンスであるとは考えて
いません。これについては別に書きます。


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本題から離れるんですが...

http://www.debian.org/social_contract の日本語訳のDFSG部分です
が、少し気になった点があります。

clause 4
    o   ``Integrity'' を``Integration'' と間違えているように見
        えます。「統合」では、日本語としても別の意味にとられそ
        う。「保全性」としたいところですが、これはこれであまり
        いい訳語とも思えないし...

    o   第3センテンスで、may をmustと間違えているようです。第
        2センテンスも何か違うニュアンスになっているように読め
        ます。上記の私の訳文が参考になれば。


caluse 7
    複文に分けているのはいいのですが、後半部分の訳しかたがちょっ
    と変です。those parties をthird party と見間違えたのではな
    いかと思います。以下を参考にして下さい。まあ、これでもあま
    り良い訳だとは思ってないんですが、参考程度に。


    7.  Distribution of License
        The rights attached to the program must apply to all
        to whom the program is redistributed without the need
        for execution of an additional license by those parties.

    7.  ライセンスの配布
        プログラムに付随する権利は、プログラムの再配布を受けた
        者による、追加ライセンス履行の必要なく、それらの者全て
        に適用されなければならない。


BTS に投げた方が良かったのかな。その場合、本家とJPとどちらにな
げるべきなんでしょう。


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Ken Nakagaki <kenn@xxxxxxxxxxxxxxxxx>
「会社は主にそれ自身の慣性によって前進している」-- Gerry Spence