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[debian-devel:13848] Re: [debian-users:27164] Re: VFlib を使うと GPL 違反になってませんか?
佐野@浜松です。
In <200103030104.KAA21664@xxxxxxxxxxxxxxx>,
on "Sat, 3 Mar 2001 10:04:56 +0900',
tajiri@xxxxxxxxxxxxxxx さん wrote:
> > > を読んでて、FreeType License とGPLは矛盾するという項があっ
> > > て気になりました。FreeType Version 1をリンクしてる
> > > VFlib経由でfreetypeを利用してるプログラム(xdvik-ja、
> > > ghostscript など)もGPLと矛盾してるので配布
> > > してはならないと思うのですが、なんらかの理由があって
> >
> > これもう少し解説して欲しいのですが。VFlib2 が FreeType1
> > をリンク(static?)していて FreeType1 の License と GPL が
> > 矛盾してる、というのは判ったとして gs/xdvik-ja (GPL なもの?)
> > など VFlib 経由で FreeType を使うとどうマズイのでしょうか?
> GPLは非フリーのモジュールとのリンクを原則禁止してるので、
> たぐっていって矛盾するライセンスがあるとまずい。
> (FreeType LicenseはDSFGに合致してますが、FSFのFree
> Softwareのライセンスじゃありません。それと、
> 共有ライブラリでも除外されないという立場をFSFがとってるのは、
> KDE &Qtの件で明らかです。)
御意。
要するに、GPL なソフトウェアは (non-free なシステム上で使われる
場合の例外を除き) コンパイル/実行のいずれにおいても GPL 互換な
コードしか使ってはならない、という規定があるのです。
これは、例えば GPL なソフトウェアの改変版として、主要な機能を
non-free な別ライセンスのライブラリに実装し、GPL なコードは
単にそのライブラリのインターフェイスとしてしまうような、
いわば GPL を骨抜きにしてしまうような利用方法を排除するため、
だそうです。(という話がどこかで読んだ RMS からのメールにあった)
GPL なソフトウェアが (GPL 互換となった新しい版の) BSD や LGPL な
ライセンスのライブラリを利用するのは問題ありません。何故なら、
GPL 互換ということは、GPL なソフトウェアとそれらのライブラリを
一緒にしたアーカイブ全体を GPL で配布することが可能だからです。
しかし、GPL 非互換なものは、一緒にまとめたアーカイブを GPL で
配布できませんから、バイナリを配布する際の条件である GPL 第 3 項の
注:
The source code for a work means the preferred form of the work for
making modifications to it. For an executable work, complete source
code means all the source code for all modules it contains, plus any
associated interface definition files, plus the scripts used to
control compilation and installation of the executable. However, as a
special exception, the source code distributed need not include
anything that is normally distributed (in either source or binary
form) with the major components (compiler, kernel, and so on) of the
operating system on which the executable runs, unless that component
itself accompanies the executable.
に違反することになります。
これを解消するためには
10. If you wish to incorporate parts of the Program into other free
programs whose distribution conditions are different, write to the author
to ask for permission. For software which is copyrighted by the Free
Software Foundation, write to the Free Software Foundation; we sometimes
make exceptions for this. Our decision will be guided by the two goals
of preserving the free status of all derivatives of our free software and
of promoting the sharing and reuse of software generally.
にあるように、「別ライセンスのライブラリ」についての GPL 適用除外を
それぞれのソフトウェアの作者にお願いし、許可してもらうことが必要です。
> > VFlib2 自体は問題ないのでしょうか?
VFlib2 自体は LGPL なので、6.a の条件によって OSD 互換かつ GPL 非互換な
ライセンスのライブラリを使うことは許可されているものと考えられます。
> > gs/xdvik-ja は VFlib を runtime ライブラリで使うにすぎないと
> > 思うのですが問題になるのでしょうか?
GPL なソフトウェアは、「自分が利用しているライブラリ」などについても
遡って GPL 互換であることを要求します。例外は
However, as a special exception, the source code distributed need
not include anything that is normally distributed (in either source
or binary form) with the major components (compiler, kernel, and
so on) of the operating system on which the executable runs, unless
that component itself accompanies the executable.
という「non-free な OS 上で利用する場合」の条件だけです。
そして、"the major components" と "the executable" が一緒に配布される
場合にはこの例外は適用されません ("unless that component itself ...")。
逆に、例えば gs-aladdin-vflib のように、GPL でないライセンスの場合、
VFlib2 (with FreeType 1) が LGPL であることから、「単に dynamic link
を経由して利用するだけ」という点で LGPL の 6.b の条件を満たしますから
そのソフトウェアのライセンスが GPL のように「自分自身が利用しているものに
ついても遡って同じライセンスで配布可能であることを要求する」ものでなければ
問題はありません。
また、xdvik-ja についても配布ライセンスが LGPL であると確認できれば、
問題は無くなると思います。
もちろん、以前むつみさんが書かれていたように、XFree86 関連のように
MIT/X11 ライセンスのソフトウェアは「遡って同じライセンスで配布可能
であることを要求する」ことはありませんから、まったく問題無いです。
結局、GPL なソフトウェアの機能を拡張する際は GPL 互換なコードのみを
使うべし、という原則がある、ということですね。
しかし、そうなるとせっかく統合してもらった VFlib2 関連の部分を
Debian の gs からも外してもらわないといけなくなります。困った。
VFlib 対応以前の gs261j パッチだけを使うようにすれば、とりあえず
日本語対応は可能なはずですが、TrueType フォントは使えなくなりますね。
あるいは gs からは VFlib や TrueType を使わないことにして、
CID フォント対応によって日本語文字に対応させるという方法も
あると思うのですが、こちらの実現可能性はどうなんでしょう ?
オリジナルの Aladdin ghostscript に日本語対応を入れてもらう作業が、
現状どうなっているのか、どなたか御存知ですか ?
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# (わたしのおうちは浜松市、「夜のお菓子」で有名さ。)
<kgh12351@xxxxxxxxxxx> : Taketoshi Sano (佐野 武俊)