[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]

[debian-users:25952] Re: 文系理系 (Re: 日本語プログラミング (Re: ワープロ))



 こんにちは。島田です。

On Wed, 6 Dec 2000 15:36:23 +0900
Tomohiro KUBOTA <tkubota@xxxxxxxxxxx> wrote:

>   文章的 = 文系的
>   アルゴリズム的 = 理系的
> というふうな感覚で話が進んでいるものと思っていましたので。

 プログラミングをするのに使う思考方法は、大きく分けて 2 種類あると思い
ます。

 ひとつは、プログラムがどう動作するかを順に(直列的に)考える方法です。
 もうひとつは、プログラムで問題としている領域をどうモデリングするかです。

 ひとつめは、ユースケースによる文章やアクティビティ図などなどで考えます
が、このような思考は、筋道を立てて正しく考え、誤解のないように文章化する
という国語能力に支えられていると思います。

 レビューでのユーザやチームとのやりとりは、デモのソフトも使うかもしれま
せんが、主には会話で行われます。これはまさに文系的な国語能力でしょう。

# 私が小中高と受けた国語の授業では、いかに誤解なく正しい日本語を使って文
# 章を書くかというテーマは「文学的でなくつまらない」といって、わざとその
# ような章を飛ばす先生がほとんどでした。
# 逆に、表現の味わいを楽しむ文学的な作品を好んで教える先生がほとんどでし
# た。
# しかし、私の考えでは、言葉の妙を楽しむ芸術的感性だけでなく、それ以前に
# 誰に対しても誤解なく伝えられるように文を書き、他人の書いた文章を誤解な
# く正確に読み取る能力のほうが、国語教育にとって基礎だと思います。

 ふたつめのモデリングは、複雑なものを単純に表現する過程です。自然科学が
そうであるように、複雑怪奇な事象で成り立っているこの現実の世界を、理想化
して単純化したモデルに置き換えて考える、という繰り返しが進歩の必須条件で
す。
 複雑な系を単純に表現すること、これは理系的な能力かもしれませんし、直観
的(直感的ではない)な能力かもしれません。
 芸術におけるひらめきと通じるものがあるとも思えます。数学者が難しい命題
を解くときの精神状態にも似ているかもしれません。

 こうして考えてみると、プログラミングというのは、理系とか文系とか、ある
いは芸術的な感性といった、単独の能力ではあまりたいしたことができないもの
だと思えてきます。

 実際にプログラミングをする際には、意識するしないに関わらず、さまざまな
分野の能力を総合的に活用しているのではないかと思えます。


----------------------------------------------------------------------
Mail: shimaden@xxxxxxxxx
Home Page: http://www.din.or.jp/~shimaden/
島田博幸
Hiroyuki Shimada
----------------------------------------------------------------------